(公開日:2021-01-31)
(更新日:2022-10-23)
運転中の破損や性能低下などで使用済となった太陽光パネル(ソーラーパネル)は、廃掃法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)に基づき産業廃棄物として処分することが義務付けられています。
これは太陽光パネルに限らず、事業者はその事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければなりません。
(事業者の責務)
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第三条 事業者は、その事業活動にともつて伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。
2 事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物の再生利用等を行うことによりその減量に努めるとともに、物の製造、加工、販売等に際して、その製品、容器等が廃棄物となった場合における処理の困難性についてあらかじめ自ら評価し、適正な処理が困難にならないような製品、容器等の開発を行うこと、その製品、容器等に係る廃棄物の適正な処理の方法についての情報を提供すること等により、その製品、容器等が廃棄物となった場合においてその適正な処理が困難になることのないようにしなければならない。
3 事業者は、前二項に定めるもののほか、廃棄物の減量その他その適正な処理の確保等に関し国及び地方公共団体の施策に協力しなければならない。
廃掃法では事業者に一義的な責任が規定されているものの、一般の事業者で廃棄物を適切に処理することは技術的・経済的にも困難であるため、実際には産業廃棄物を専門に取り扱う事業者(中間処理業者・最終処分業者)に委託することになります。
廃棄処分される太陽光パネルに関しても産業廃棄物として処分されますが、具体的な処理の流れが環境省の『太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン』に記載されています。
資源の有効活用や環境への影響を抑えることから、排出事業者は使用を終えた太陽光パネルの処理を以下の優先順位で進めていくことになります。
①発生抑制(リデュース)
②再使用(リユース)
③再生利用(リサイクル)
④熱回収
⑤埋立処分
実際のリユース・リサイクルにおいては、以下の点に配慮をする必要があります。
リユース・再利用を検討する
適正な中間処理業者・収集運搬業者に依頼する
リサイクルの方法にも配慮する
また排出事業者は廃棄物の再生利用や減量化などにも取組む必要があり、これは法律の主旨はもちろんですが環境への影響や地域との共生など、事業者としてのCSRや社会的意義といった視点が求められます。
従って排出事業者は委託先の処理コストだけでなく、リサイクルや環境・地域への影響なども十分に考慮する必要があります。
太陽光パネルのリサイクルで技術的な課題になるのは、封止材(EVA樹脂)で強固に貼り合わされているガラスを剥離する工程です。(関連トピック)
長期間の屋外使用に耐えうる構造になっており、通常の廃棄物の破砕や選別では効率的なリサイクルが難しいため、専用のリサイクル装置の開発されています。(関連トピック)
全国で多くの事業者が太陽光パネルリサイクルの装置を導入するなど適切な処分ができる環境構築が進んでおり、排出事業者は適切な処理・リサイクルに対応している中間処理業者へ処理を委託することが推奨されます。
(本WEBサイトでも、全国の処理可能な事業者をご覧いただけます)
2019年度における産業廃棄物最終処分場の残余容量は1.54億m3、残余年数は16.8年となっています。
残余容量は減少傾向であり、将来の最終処分場の逼迫が懸念されています。(関連トピック)
太陽光パネルの種類や架台などの含めた装置構成の違いもありますが、太陽光パネルが発電所全体の約6割を占めるといわれています。
特に太陽光パネルは構成部品のうちガラスが大半を占めており、ガラスのリサイクルを適正処理する重要性が分かります。
一方で全体の4割弱を占める架台は概ね金属製(スチール製、一部でステンレス製やアルミニウム製もある)であり、既存のリサイクルシステムの範疇で適正な処理が可能だと考えられます。
太陽光パネルの廃棄処分は法令遵守やコンプライアンスの視点から、発電事業などを行う排出事業者が一義的に責任を負うことになります。
特に発電所全体の中でも太陽光パネルが占める物量は多大なものであり、その中でも太陽光パネルを構成するガラスの適正な処理が課題となります。
近い将来に大量廃棄が社会問題化することを見据え、既に産廃業者の中にも太陽光パネル専用のリサイクル装置を導入する事業者も増えています。
処理を委託する立場である排出事業者には、これら処理に取組む事業者がどのように太陽光パネルのリサイクルを実施しているか、コスト・環境負荷・資源循環など多面的な視点での判断が求められます。