経済産業省は2020年1月に「第67回 調達価格等算定委員会」を開催し、2021年度における再生可能エネルギーの固定買取価格制度(FIT)の買取価格案を公表しました。本委員会の中では事業用太陽光発電設備の廃棄費用に関する議論も行われており、積立制度に関する議論が示されています。
積立制度のポイントとして、以下の内容があげられます。
従来から太陽光発電設備の建設費の『5%』をめどに廃棄費用を確保する旨のガイドラインがありました。さらに2018年4月に積立ての努力義務から義務化、同年7月から定期報告において積立計画と進捗状況の報告を義務化されていました。
一方でこれら義務化にも拘わらず発電事業者による積立の進捗状況が芳しくなく、将来の不法投棄や放置の懸念が高いことから法制化せざるを得ない状況と判断したものと考えられます。
廃棄費用の積立金額は、認定年度(一部発電出力)によって異なります。これは想定される設備利用率と建設費の実績の推移から、一定の費用が見込める金額になるように決められたと委員会の議論にあります。
実際の積立金額の割合は、2012年認定の発電設備では売電価格の4.05%(1.62/40)、2020年度では同6%(0.66/11、11円/kWhとした場合)となり、廃棄費用を見込んでいない事業者にとっては、キャッシュフローへの影響は非常に大きいものとなります。
10年間の拠出額は、以下の通りに概算できます。
積立金額もさることながら導入年度によっては金額に2倍近い違いがあることが分かります。
太陽光発電設備の廃棄費用の積立制度は2022年には施行開始される予定であり、全ての発電事業者にとって喫緊の課題といえます。
現在、一部の産業廃棄物の中間処理業者により、太陽光パネルのリサイクル装置導入が進められていますが、大量廃棄を迎えるにあたってはさらなるコストダウンが求められます。
また発電事業者には開発当初から廃棄に関しての検討を進める必要があり、O&Mだけでなく静脈産業の事業者とも、十分なコミュニケーションが求められると考えられます。