国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、『太陽光発電主力電源化推進技術開発』の基本計画および2021年度版の実施方針を公表しています。
事業期間は2020年度~2024年度の5年間、2020年度は33.2億円の予算で実施されるとあります。
これまで固定買取価格制度を軸に大規模なメガソーラー開発等で普及が進んできた太陽光発電ですが、今後さらに普及させるに際してこれまで活用されていなかった土地や設備、持続的な開発が可能となるような技術開発にも取り組むとあります。
本事業では、これら解決を行う技術開発を行います。例えば、地上型設置や住宅屋根設置等の太陽光発電システムの設置に適した低コスト好条件の適地が減少している中、重量制約の有る屋根、建物壁面、移動体などの需要地に近接していますが、従来の技術では太陽光発電が導入されていなかった新市場に導入可能とするためのモジュール・システム技術開発を行います。
さらに、太陽光発電設備の長期安定電源化の課題解決に向け、傾斜地、水上、営農といった設置が進みつつある領域の安全確保に資するガイドライン策定や、小規模な事業用太陽光発電設備の適切なメンテナンスの確保や再投資を促すために必要となる信頼性評価・回復に係る技術開発を行います。
また、今後急増すると予想される太陽光発電モジュールの低コストリサイクル技術や出力抑制等の系統制約の克服に向けた太陽光発電側での対応方法の検討等を行います。これらの技術を支える共通基盤技術(新型電池の測定評価法や日射量予測の高度化)の開発等も実施します。
引用元:NEDO
本事業は太陽光発電普及に向けた新市場創造技術(フィルム型PV、壁面世知、移動体PV)や安定電源化技術(安全性・信頼性技術、リサイクル技術、系統影響緩和)の開発を目的としています。
『太陽光パネルのリサイクル技術』開発も実施される予定であり、太陽電池モジュールの分離物を有効活用するマテリアルリサイクル技術の最終目標として『分解処理コスト3円/W以下』という高い目標が設定されています。
3.達成目標
引用元:NEDO
【中間目標(2021年度)】
実モジュールにおいて、以下の技術を確立する。
・分解処理コスト3円/W以下。
・部材として再利用可能な状態で資源回収率80%以上。
・太陽電池モジュール由来の回収物のマテリアルリサイクル技術を開発する。
【最終目標(2023年度)】
実モジュールサイズの実証プラントを構築し、連続運転で以下の性能を満たすこと。
・分離処理コスト3円/W以下の分離技術であること。
・資源回収率80%以上の分離技術であること。
・太陽電池モジュール由来の回収物がマテリアルリサイクルに資する性能であること。
太陽光パネルリサイクル技術に関しては2事業が計画されており、『結晶シリコン及びCIS太陽電池モジュールの低環境負荷マテリアルリサイクル技術実証』をソーラーフロンティア株式会社が、『太陽電池モジュールの低温熱分解法によるリサイクル技術開発』を株式会社トクヤマがそれぞれ実施主体となります。
現在までに既に数社が陽光パネルのリサイクル装置を製品化していますが、NEDOが掲げる『3円/W』というコストは実現できていません。これらの新しい技術開発が、今後の使用済太陽光パネルの処理コスト低下につながることが期待されます。