(公開日:2021-07-05)
太陽光パネルのリサイクルに関する各種技術の概要を整理し、それぞれの特徴を概説してます。
第3回では、独自開発で製品化されたリサイクル技術、アルミ枠分離装置の概要を紹介していきます。
ローラ式剥離機は、表面が特殊な形状の刃を持つ2本のローラーの間にパネルを通すことで、ガラスのみを剥離する方式です。前回紹介したロール式破砕機と比較すると、ローラーでガラスに圧し潰す代わりにガラスを掻き取る(剥離)ことで、粒の大きいガラスが得られます。
本方式はNEDOにより技術開発が進められましたが、現時点ではその成果を活用した製品化は確認できていません。
・結晶シリコン太陽電池モジュールのリサイクル技術開発(2014年度)(リンク切れ@2022/8/15)
・結晶シリコン太陽電池モジュールのリサイクル技術実証(2015~2018年度)(リンク切れ@2022/8/15)
一方でNEDOとの共同研究を経ることなく、独自技術により開発されたローラ式剥離装置が製品化されています。国内で既に10台(*)が設置されており、剥離後のガラスがエコマーク商品として扱えるなどの特徴があります。
(*2021年6月時点、運営者調べ)
本方式も独自に開発された技術により製品化されています。EVAを剥離しやすくするため、太陽光パネルが加熱されながらガラス分離機に送られ、ガラス分離機内のハンマーでガラス部分が破砕されます。
ガラスはカレット状で回収され、発泡ガラスの原料としても用いられる様です。
太陽光パネルのリサイクルでは、ガラスとセル・バックシートの分離技術に着目されてきました。一方で実際の処理の現場では、その前処理としてのアルミ枠や電極の除去が処理能力(生産性)に影響します。
太陽光パネルのリサイクル装置の導入を検討する際には、付帯する装置の能力・仕様も十分考慮する必要があります。
太陽光パネルのリサイクル技術・装置に関して、全3回に渡ってその技術の特徴や仕様を概説してきました。
各々のリサイクル技術には、それぞれ長所短所があります。導入する企業の能力や排出事業者の意向、リサイクルシステム全体の特徴を十分理解した上で、適切な技術・装置を選ぶ必要があります。
また今回は紹介はしていませんが、使用済太陽光パネルの大量廃棄の課題解決をビジネス上の好機と捉え、リサイクル技術・装置を独自開発している事業者も複数あります。
将来的には、これら技術の中で価格・能力・環境への負荷など、顧客のニーズに適さないものは淘汰されていくと考えられます。