三菱ケミカルグループの株式会社新菱が太陽光パネルのリサイクル事業を拡充します。北九州市内に新工場を設け、2030年度にパネルの処理能力を現在の2.5倍の年2400トンに引き上げる計画だと報じられています。
新菱では、過去にNEDOによる技術開発プロジェクト(関連トピック)や環境省による実証事業(関連トピック)に参加し、使用済太陽光パネルのリサイクル技術の開発を進めてきました。これらの成果を用いて同社ではEVAを加熱・燃焼させる熱処理法を採用しており、太陽光パネルを素材ごとの分離・選別を行います。
報道記事では記載はありませんが、熱処理法はパネルを加熱するため太陽光パネル中の有機分であるEVAの燃焼無に関わらず、熱源としてエネルギーを要します。脱CO2への道筋を考えていく上で、熱源に工場排熱やカーボンフリー電源などの活用など、リサイクル技術だけでなく処理に必要なエネルギーに関しても、今後重要な視点となっていくと考えられます。
今後太陽光リサイクルパネルのリサイクルにおいて、装置メーカーによる処理に要するエネルギー・CO2排出量の開示が進むことが望まれます。また装置導入企業やパネル排出事業者においても、リサイクル率だけでなく処理時の環境負荷(CO2排出量など)も考えていく必要があります。