環境省では、金属リサイクルにおいて脱炭素型リサイクルシステムの有効性を検証のため「令和3年度脱炭素型金属リサイクルシステムの早期社会実装化に向けた実証事業」を実施し、太陽光パネルに関する事業も2件の報告書が公開されています。
本事業で検証した内容に関する報告書を2回に分け、今回は『1.太陽光パネルの高度選別技術開発とリサイクル・システム構築による早期事業化』について紹介します。
本事業では使用済み太陽光パネルのリサイクルを促進することを目的に、株式会社新菱に委託され実証事業が行われました。令和2年度からの2か年で実施されており(関連トピック)、昨年度の実証事業で得られた選別技術とグラスウール製造の結果を基に、更なるガラスの高度選別技術開発が行われています。また太陽光パネルをリサイクルすることによるCO2削減効果が評価されており、路盤材への利用と比較し、パネル1枚当たり 21.81kg-CO2 の削減効果があることが確認できたと報告されています。
・報告書 >> 令和3年度脱炭素型金属リサイクルシステムの早期社会実装化に向けた実証事業(太陽光パネルの高度選別技術開発とリサイクル・システム構築による早期事業化)委託業務 成果報告書
前年度から継続された本実証事業により、下記結果が得られたと報告されています。
本実証事業での結果より、選別ガラスカレットのグラスウール原料化、および銅線・シリコンセルの精錬工場での回収に目途が付き、回収を含めた太陽光パネルのリサイクルシステムの運用実現性が確認できたとあります。
実証事業を委託された株式会社新菱では、環境省「R3脱炭素社会構築のための資源循環高度化設備導入促進事業」に採択されており(関連ニュース)、本事業で開発した技術を用いた「PV リサイクル工場」をエコタウン北九州に建設中です(関連ニュース)。
同社では、実証で検証した太陽光パネルリサイクル方式の普及と、関連機関や企業と連携し北九州エコタウンモデルとして全国展開に取り組むとあります。