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環境省:令和3年度脱炭素型金属リサイクルシステムの早期社会実装に向けた実証事業報告書①

環境省では、金属リサイクルにおいて脱炭素型リサイクルシステムの有効性を検証のため「令和3年度脱炭素型金属リサイクルシステムの早期社会実装化に向けた実証事業」を実施し、太陽光パネルに関する事業も2件の報告書が公開されています。

  1. 太陽光パネルの高度選別技術開発とリサイクル・システム構築による早期事業化(株式会社新菱)
  2. 太陽光パネルの収集・リユースおよび非鉄金属の回収に係る技術実証(イー・アンド・イー ソリューションズ株式会社)

本事業で検証した内容に関する報告書を2回に分け、今回は『1.太陽光パネルの高度選別技術開発とリサイクル・システム構築による早期事業化』について紹介します。

実証事業の概要

本事業では使用済み太陽光パネルのリサイクルを促進することを目的に、株式会社新菱に委託され実証事業が行われました。令和2年度からの2か年で実施されており(関連トピック)、昨年度の実証事業で得られた選別技術とグラスウール製造の結果を基に、更なるガラスの高度選別技術開発が行われています。また太陽光パネルをリサイクルすることによるCO2削減効果が評価されており、路盤材への利用と比較し、パネル1枚当たり 21.81kg-CO2 の削減効果があることが確認できたと報告されています。

・報告書 >> 令和3年度脱炭素型金属リサイクルシステムの早期社会実装化に向けた実証事業(太陽光パネルの高度選別技術開発とリサイクル・システム構築による早期事業化)委託業務 成果報告書

実証事業の結果

前年度から継続された本実証事業により、下記結果が得られたと報告されています。

割れた使用済み太陽光パネルからの高純度ガラス製造に関する研究
  • 前年度よりも異物混入量が少ない高品位なガラスの回収を達成
  • ガラス品位は 99.997 wt%(異物含有率 26 ppmwt)、回収率は 97.4 %
選別処理の連続試験
  • ガラスへの異物混入量は前年度比で低減
  • 工程変更による金属側へガラス混入するため、再選別による金属分の品位向上とガラス歩留まり向上が必要
カバーガラスの組成調査
  • 18検体、26項目(含有成分)について組成分析を実施、前年度実施した結果と大きな差は認められなかった
  • 廃棄物処理法に関連する項目として、As2O3は28検体中7検体、PbOは28検体中7検体で検出された
(引用元:環境省)
グラスウール試作検討
  • 前年度より選別精度を高めた選別ガラスカレットを10%置換し実炉試作、生産及び品質に問題なく製造することを確認
金属リサイクルの検討
  • 前年度との比較で選別回収物の金属濃度は低下しており、マテリアルリサイクル実現にはガラス品位と金属品位の調整が必要
  • 金属回収物を再度選別工程での金属品位向上により、金属を含めた資源循環は可能
(引用元:環境省)
環境改善効果の評価
  • 太陽光パネル処理にかかるCO2排出量をLCA評価し、路盤材としての活用と比較した場合に、21.81kg-CO2/枚(トン当たり換算で1,363kg-CO2/t)の削減効果を確認
  • 太陽光パネルのリサイクルを推進することにより、最終処分量の削減やガラス原料の水平サイクルなどの資源循環の点でも有効
(引用元:環境省)

まとめ

本実証事業での結果より、選別ガラスカレットのグラスウール原料化、および銅線・シリコンセルの精錬工場での回収に目途が付き、回収を含めた太陽光パネルのリサイクルシステムの運用実現性が確認できたとあります。
実証事業を委託された株式会社新菱では、環境省「R3脱炭素社会構築のための資源循環高度化設備導入促進事業」に採択されており(関連ニュース)、本事業で開発した技術を用いた「PV リサイクル工場」をエコタウン北九州に建設中です(関連ニュース)。
同社では、実証で検証した太陽光パネルリサイクル方式の普及と、関連機関や企業と連携し北九州エコタウンモデルとして全国展開に取り組むとあります。

参考資料