環境省では、使用済PVモジュールの効率的な回収、適切なリユース・リサイクルやトレーサビリティ等の情報プラットフォーム(PF)の実証を目的とした『資源循環に関する情報プラットフォーム実証事業(使用済太陽光パネルの適性管理情報プラットフォームの運用・事業面の検証)』を実施し、報告書が公開されています。
本事業で検証した内容に関する報告書について、概要を紹介します(関連ニュース①、関連ニュース②、関連ニュース③)。
本実証事業は3年間で予定されており、初年度の令和3年度は情報PF検討のための事前調査、要件定義の作成、情報PFの準備とその実証実験が行われました。
使用済太陽光パネルのリユース・リサイクルの流通において、排出者と処理業者・購入者を繋ぐ情報管理プラットフォームが構想されています。
使用済PVモジュールに関する情報を、排出側(発電事業者や工事業者等)とリユース・リサイクル側の間で結び、情報PFを介してリユース市場や中間処理業者に情報を提供するとあります。
データ入力はRFIDなどを利用したIoT連携を図り、ブロックチェーン技術により非改ざん性を担保することでトレーサビリティの強化するとあります。
またリユース・適正処分に関するガイドライン(環境省)や廃棄費用積立制度(エネ庁)、JWネット(電子マニフェスト)ともリンクさせる構想のようです。
使用済PVモジュールの情報を可視化・信頼性担保がリユース品の市場活性化を促進し、CO2削減や資源循環、最終処分の低減が期待されるとあります。
使用済PVモジュールの現在のサプライチェーン(回収、検査、販売、リユース品利用、処理)の現状を調査し、情報PF構築の要件定義の検討が行われています。
また並行して関係企業へのヒアリングを行われており、使用済PVモジュール排出後の実態調査と情報PFに対するニーズが整理されています。
本実証事業の結果、使用済PVモジュールのリユース・リサイクルの促進にあたり、リユース・リサイクルの認知度向上や活用事例の創出など、抜本的な施策の必要性が言及されています。
実証事業として『データ一元化』『トレーサビリティ・情報の非改ざん性』『リユース・リサイクルの一体化/JWNET・廃棄費用外部積立制度・PVCJとの連携』などの成果が掲げられており、かつ実証事業外として『ユースケースの創出』『品質担保・保険組成の検討』『リユースパネル取引サイト連携』などが出口戦略として検討されています。
また将来的な展望としては、本事業によって確立された情報PFの海外展開や他再エネ(蓄電池や風力発電タービンのブレード等)の廃棄物への横展開、関連事業者の業界連携やリユース市場の新規創出・活性化の可能性なども検討するとあります。
使用済太陽光パネルの課題に関して、NEDOによるリサイクル技術開発や環境省・自治体による設備導入への補助金などハード面が主眼に置かれてきました。本実証事業はリユース・廃棄におけるプラットフォーム構築の実現に向けた新しい取り組みであり、今後の成果が期待されます。
一方で現状の事業者の動向や将来予想される廃棄問題に関して、以下の課題があると考えられます。
本事業は今後も継続されることになるため、これらを含め今後の成果を注目されます。