東京都では、今後大量廃棄が見込まれる使用済太陽光発電設備の3R及び適正処理が促進されることを目的に「東京都使用済太陽光発電設備リサイクル検討会」を設置しており、これまで開催された7回の検討会の結果が報告書として取りまとめられ公開されています。
全国的で事業用で太陽光発電が普及したのと対照的に都内では住宅用が7割となっており、リサイクル・リユースの仕組みが事業用に比べて整備が遅れています。
報告書では、規模が小さく設置場所が分散している住宅用太陽光発電設備についての特徴が整理されており、また住宅用特有な課題が指摘されています。
主に住宅用太陽光発電設備に起因する課題や、東京都内の廃棄パネルの排出特性を踏まえた取組みの方向性が、サーキュラーエコノミーへの転換を推進する観点で整理されています。
その中には各主体(都、ユーザー/所有者、事業者、パネルメーカー)の役割や連携、資源活用の高度化、また具体的な進め方(リユース・リサイクルルート、実施体制)について提言されています。
また事業用太陽光発電設備(10kW以上)で進む廃棄費用やリサイクルへの取組みと同様に、住宅用の太陽光パネルのリユース・リサイクルが着実に進むよう費用積立や効率的回収システムの整備等について国へ提言・要望すべきとしています。
東京都では一定以上の新築住宅等を供給する事業者(ハウスメーカーや不動産デベロッパー等)を対象に、太陽光発電設備等の設置の義務付けが検討されています。
一方で本報告書では住宅向け太陽光パネルの回収・撤去での不備や費用負担の問題などを指摘していますが、一方で具体的な方策に関しては踏み込んだ提言は見られません。
一部メディアやSNS上では義務化への否定的意見や拒否感もあることから、都民の理解を得ながら設置義務付けを進める上で廃棄費用についての政策議論(都独自での廃棄費用積立制度、廃棄時の行政補助や保険)が求められます。