環境省は、『令和4年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書』を2022年6月7日に公表しました。
昨今の気候変動や資源の大量消費、生物多様性など幅広い内容が網羅されていますが、太陽光パネルの廃棄・リサイクルに関わるポイントして産業廃棄物の最終処分量に関する動向を取り上げます。
2019年度において、産業廃棄物の排出量は3億8596万トンであり、中間処理や再生利用を行われ916万トン(2%)が最終処分されているとあります。
業種別では、『電気・ガス・熱供給・水道業』『建設業』『農業・林業』で全体の約7割を占めています。
2019年度における産業廃棄物最終処分場の残余容量は1.54億m3、残余年数は16.8年となっています。
長期的に残余年数は増えているものの残余容量そのものは減少傾向であり、将来の最終処分場の逼迫が懸念されることからも資源循環が重要と考えられます。
NEDOによる将来の太陽光パネル排出予測によれば、条件によりいくつかのシナリオが提示されていますが、20~30万トン程度と考えられています。(参考トピック)
また環境省の調査報告によれば、現在廃棄されている太陽光パネルの1.5%~3.3%程度が最終処分されているとあります(リサイクルされたもののうち、約10%程度)。(参考トピック)
年間30万トンの排出が全て廃棄処分されたと仮定した場合、年間で3万トン(30万トン × 10%)が最終処分されることになり、2019年度の最終処分量の約0.33%となります。
一部報道やSNSで指摘されるほどの影響はないと考えられ、現実のデータに基づく冷静な議論が必要だと考えられます。
一方で資源循環の観点やCO2削減などから、リユースの促進やリサイクルの高度化が必要なのは論をまたないと云えます。