経済産業省(資源エネルギー庁)は、2022年10月7日に『再生可能エネルギー発電設備の適正な導入及び管理のあり方に関する検討会 提言』を公表しています。
本提言は、経済産業省・農林水産省・国土交通省・環境省により2022年4月から9月に開催された『再生可能エネルギー発電設備の適正な導入及び管理のあり方に関する検討会』の議論の内容を、パブリックコメントを経て纏められたものになります。
本トピックでは、提言の全体像と太陽光パネルの廃棄・リサイクルに関する内容に関して、概要を整理します。
政府では2050年のカーボンニュートラル及び2030年度に再生可能エネルギーの割合を36~38%の目標を掲げており、エネルギー安全保障の面でも再エネ導入の重要性が増しています。一方でFIT制度による太陽光発電を中心に再エネの急拡大に伴い、一部の地域では災害や環境・景観への影響、将来の廃棄などへの懸念が高まっています。
この様な背景において、関係4省庁(経済産業省・農林水産省・国土交通省・環境省)が共同で本検討会を開催し、再生可能エネルギー発電設備の適正な導入及び管理に向けた施策の方向性などの議論され、パブリックコメントを経て提言としてまとめられています。
更なる再エネの導入拡大のためには、災害や環境への影響、設備の不法投棄等への懸念に対応し地域との共生しながら事業を進めていくことが求められます。今後は、本検討会の提言を踏まえて関係する省庁や自治体と連携した速やかな対応と、適切なフォローアップの継続的な取組みが期待されるとあります。
本提言は2部構成となっており、前半『再生可能エネルギー発電設備の導入から廃棄までの事業実施段階における現状の取組み』では、再生可能エネルギーの現状や関連する法令や地域社会が抱える懸念、地域との共生に向けてのこれまでの取組みと課題などが整理されています。
後半部分では、「再生可能エネルギー発電設備の導入から廃棄までの事業実施段階における課題と取組の方向性」として、検討に際しての基本的な考え方、発電事業の各段階における議論の整理と求められるアクション(対応すべき施策)が纏められています。
検討会では、多くの委員から再エネ発電事業の実施において地域における合意形成に向けた適切なコミュニケーションの重要性が強調されており、悪質な事業者に対しての是正を行うための執行力・執行体制の強化が不可欠との指摘もされています。
特に太陽光発電事業の参入障壁の低さや事業主体の変更の容易さなど、適切な事業および事業者のあり方(事業者の適格性)の対応についても検討されています。
太陽光発電設備の『廃止・廃棄段階』については、現在ガイドライン(太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン、太陽電池モジュールの適切なリユース促進ガイドライン)や廃棄等費用の積立制度などの取組みがされてきました。(関連トピック①、関連トピック②)。
一方で廃棄太陽光パネルを引き取ってもらえないといった事例も指摘されており、地域における回収フローやリサイクル等の循環管理の法的ルールの未整備などの課題があり、2030年代後半に想定される太陽光パネルの大量廃棄のピークに対応できる計画的な取組みが求められると指摘されています。
これらの課題に対する取組みの方向性として、以下のポイントが求められるとあります。
『廃止・廃棄段階に関するアクション』として、を取るべきと提言されています。
(1)速やかに対応するもの
(2)法改正も 含め制度的な対応を検討し措置するもの
本提言では、再生可能エネルギーの急速な普及に伴って生じた地域の懸念や環境への影響を払拭し、地域との共生を目的に再エネ発電設備の適正な導入及び管理のあり方を議論した内容が、具体的なアクションとして纏められています。
一部の悪質な事業者の是正に留まることなく、全ての再エネ発電事業者が地域社会で持続可能な事業を実施し継続するために、本提言の主旨を理解した上で今後の法制化や取組みへ対応していくことが求められます。