山梨県では、FIT調達期間終了に伴う太陽光発電施設の使用済みパネルの適正処理と施設活用について議論を行う検討会が2022年9月から開催されており、計6回の議論を経て検討会の「とりまとめ」が公表されています。
本検討会については議事録も公開されており、「とりまとめ」の概要と各検討会の議論の要旨を紹介します。
日照時間に恵まれるなど太陽光発電に適した地域である山梨県では、太陽光発電設備の導入に際して独自の条例やガイドラインの制定、自治体も関与した再エネやクリーンエネルギーの開発など、地域との共生を目指した取組みが進められていました。
太陽光パネルの大量廃棄・適正リサイクルに関しては国による検討会で議論されているものの、太陽光発電設備が地域・住民とも密接に関わりがあり、長期的な運用から廃棄に至るまでのライフサイクルでの課題が地域でも認識されていました。
これらの背景から山梨県では「山梨県におけるFIT調達期間終了後の太陽光発電施設に関する検討会」を設置し、2022年9月から2023年11月までに計6回の検討会が開催されています。
検討会の目的
山梨県内で急速に導入が進んだ太陽光発電施設がFIT調達期間終了後においても、再エネ電源として確保され、施設
引用元:山梨県
の廃止に至るまで県民の安全で安心な生活に影響を与えることがないよう、調達期間終了後の長期電源化及び使用済
太陽光パネルの適正処理等について検討する。
検討会では以下の内容が取り扱われており、県内外の事業者や関連団体、山梨県内での取組みなどが議論されています。
第2条 検討会は、次に掲げる事項を所掌する。
引用元:山梨県
一 調達期間終了後の太陽光発電施設の長期電源化に関する事項
二 太陽光発電事業を廃止する場合の取り扱いに関する事項
三 使用済太陽光パネルの適正処理に関する事項
検討会では基本的な考え方として「既存施設の長期電源化と使用済パネルのリユース・リサイクル」が相互に依存しており、双方を両立することでカーボンニュートラルの実現や太陽光パネルの急激な廃棄のピーク、最終処分量の抑制が図られるとしています。
発電事業の実施段階から事業廃止の段階において、以下の論点に焦点が当てられています。
長期電源化に向けた環境整備として、小規模発電所の事業集約やDXを活用した維持管理、地域の取組むクリーンエネルギーとの連携などについて推進されるとあります。
また国の検討会ではリサイクル(適正廃棄)に関する議論に重きが置かれているのに対して、リユースパネルの普及をどのように進めるかに焦点が当てられています。
また大量廃棄への取組みについて、地域の実状に応じて地方(県・市町村)が主体的な役割を果たすべき事項と国が担うべき事項が提案されていることが、特徴として挙げられます。
今後、山梨県では「とりまとめ」の事項を、予算化などし実際の事業・取組みとして進めていくとされています。
検討会は計6回実施されており、それぞれ以下の内容が議論されています。
なお各回の議論の詳細はこちら(ファイルが開きます)から参照ください。
将来の太陽光パネルの大量廃棄に関する議論が国の検討会で進展しており、東京都や福岡県など一部自治体でも独自の取り組みが進んでいます。
太陽光発電は地域に根差した事業である一方で、一部では発電事業者と地域住民の間の軋轢などにより、迷惑施設として捉えられるケースも見受けられます。
このような状況下において、太陽光発電を地域の資源として長期間有効活用し、大量廃棄を抑制するための議論が自治体主導で進むことが、今後の持続的な太陽光発電の普及に寄与すると考えられます。