東京都では、今後大量廃棄が見込まれる使用済太陽光発電設備の3R及び適正処理が推進のため「東京都太陽光発電設備高度循環利用推進協議会」が設置されています。
2024年3月21日に第6回の協議会が開催されており、資料が公開されています。
公開されている資料を元に、議論されているであろう内容を紹介します。
(前回までの協議会に関してはこちらから ⇒ 第1回、第2回、第3回、第4回、第5回)
公開されている資料によれば、以下の内容が議論・共有されてるようです。
引用元:東京都
太陽光パネルのリユースに関して、国による調査報告書「使用済太陽電池モジュールリサイクルの実態調査報告書の概要(令和3年度版)」の内容が紹介されています(※最新の令和4年度の報告書ではない)。
令和3年度時点の調査結果では、排出されるパネルの約2/3がリユースとして回収されており、災害等に起因するものが多いとされています。
また、太陽光パネルのリユース事例や要件に関して独自の調査が行われており、調査結果の概要が報告されています。
事業者の詳細やビジネスモデルは不明ですが、調査対象の10社で合計30万枚(※1)以上のリユースパネルを取り扱っており、環境省による調査報告書とも規模感が概ね合致しています。
一方で活用事例として紹介されている事例はいずれも小規模であり、国内・海外を含めどの様なルートで販売されているなど、リユース市場の全体像は本結果からは推察が難しい(※2)と考えられます。
※1:1枚250W換算で、約75MW分
※2:10万枚規模でリユースパネルを扱う3社のうち2社は、国内での扱いが大半と回答している
東京都では住宅用太陽光発電システムの一部として蓄電池の普及にも力を入れており、今回の検討会では「太陽光発電用蓄電池のリサイクル」の実態等についても報告されています。
64社を対象にアンケート調査を実施しているものの、住宅用太陽光発電設備用の蓄電池取外しの実績があると回答のは17社となっていますが、現時点では廃棄台数は限定的となっている様です。
東京都では、住宅用太陽光発電設備から廃棄される太陽光パネルを適切なリサイクルに誘導するため、都が指定するリサイクル施設で処理を行う場合に費用の一部を補助する事業を実施しています。
リサイクル施設導入や技術開発などに補助・助成が主流の中で、国や他自治体に先駆けて排出者に対して廃棄費用を補助するという注目される事業です(関連トピック)。
2023年6月から開始された本制度ですが申請件数は7件(計24kW)に留まっており、更なる制度の周知と活用が求められると考えられます。
住宅への太陽光発電設置義務化を進める東京都では、適正なリサイクルやリユースに関しても費用補助やマニュアル制定など他自治体に先行する形で取組みを進めています。
今回の検討会では太陽光パネルのリユースや蓄電池のリサイクルなど、他では見られない調査などが報告されています。
一方でSNSなどネット上では誤解に基づく批判なども散見されており、使用済パネルの適正なリサイクルに限らず脱炭素社会推進に向け市民の理解や共感を得るために、効果的な周知・広報も議論されることが求められます。