環境省「中央環境審議会 循環型社会部会 太陽光発電設備リサイクル制度小委員会」と経済産業省「産業構造審議会 イノベーション・環境分科会 資源循環経済小委員会 太陽光発電設備リサイクルワーキンググループ」合同会議の第3回が、2024年10月15日に開催されました。
第3回小委員会では、太陽光発電設備の廃棄・リサイクル制度構築に向けて、前回に引き続き各論点での議論が実施されています。
(前回までの検討会に関してはこちらから ⇒ 第1回、第2回)
前回第2回に行われた議論において委員から出された意見が、「モノ・費用・情報」の各論点で整理されています。
原則として全ての太陽光パネルを制度の対象とするとした上で、設置形態や新技術に応じた区分、社会的費用や経済性への視点などが指摘されていました。
リサイクルに必要な費用として、解体等費用は発電事業者(排出者責任)、再資源化費用は製造業者(拡大生産者責任、EPR)を軸として、事業の初期段階で再資源化費用を預託する案などが提案されています。
これらの議論の内容を踏まえ、それぞれの論点についての提示・説明されています。
制度の前提として再資源化義務の対象は「太陽光パネル」に限定することが提示されています(パワコンや架台は有価物として取り扱われている)。
太陽光パネルの構成素材の6割を占めるガラスの再生利用の促進や、プラスチック(EVA)やシリコンは現状では技術的・経済的に再生利用が難しいことから、当面の熱回収も排除しない方向性が打ち出されています。
製品のライフサイクルが20~30年と長く海外メーカーのシェアが高い現状を踏まえると、廃棄時に製造事業者等が存在しないことや、全国で適正な再資源化が行える体制構築も課題として挙げられています。
また、経済的かつ円滑な再資源化を行うために、太陽光パネルの適正な撤去や積替えなどの効率的な収集運搬の仕組みも必要だと説明されています。
発電事業終了後に太陽光発電設備が放置された場合に、処理責任者の不在や解体等費用の捻出が困難になることが想定されます。
放置の防止を図るため、設備所有者に課すべき義務や制度に加えて、非FIT/非FIP設備の情報把握や解体等費用の早期確保の仕組みも必要とされています。
再資源化の費用負担のあり方として「解体等費用」と狭義の「再資源化費用」に分け、それぞれの性質や他の制度を考慮し検討を進めるとされています。
設備所有者が解体等の責任を負うことや設備の構造により費用が異なることから、「解体等費用」は設備所有者に負担を求めることが適切だと提案されています。
また事業のライフサイクルにおいて、いつの時点で解体等費用を負担(積立等)すべきか、費用確保の確実性や事業性への影響などを踏まえた論点が提示されています。
「再資源化費用」に関しては前回の議論においても拡大生産者責任の考え方が大半を占めており、太陽光発電事業の特徴や課題を考慮した上で費用負担者や適切な支払い時期の設定が課題となります。
再エネ特措法に基づくFIT/FIP設備に関しては、太陽光発電設備の情報や太陽光パネルの含有物質情報が一定程度把握されています。
非FIT/FIP設備に関しても、同程度の情報を把握できる仕組み構築が提案されています。」
情報を管理する組織やプラットフォーム構築においては、発電設備(事業実態)の情報と廃棄・リサイクルに関する情報を紐づける必要があり、関係行政機関との情報共有や既存インフラの活用なども提案されています。
事務局から提示された論点に関して、対象範囲として原則全数の太陽光パネルにすることやEPRも含めた費用負担など、議論の方向性に関して賛意を示す意見が多くなっています。
それぞれの論点について、委員から多くの指摘やコメントが上がっています。
<モノについての論点>
<費用についての論点>
<情報についての論点>
<制度化全般について>
第3回合同会議では、制度構築に向けた費用負担のあり方として、全ての太陽光パネルを対象に解体等費用を事業開始時に負担する案や、再資源化費用を製造者責任に基づいて負担する仕組みが議論されました。
また、非FIT/FIP設備に関しては、費用負担の時期や積立方法や事業性への影響など、今後検討すべき課題も共有されています。
処理費用の高さやガラスの再利用、処理能力の地域的な偏在といった課題も提起されています。
今後、関連事業者へのヒアリングなどを通じて、これらの課題や論点の整理が進められる予定です。
太陽光パネルリサイクルの義務化は、発電事業者および中間処理業者の双方に大きな影響を与えるため、今後の議論を注視する必要があります。