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環境省:太陽光発電設備リサイクル制度小委員会(第6回)

環境省「中央環境審議会 循環型社会部会 太陽光発電設備リサイクル制度小委員会」と経済産業省「産業構造審議会 イノベーション・環境分科会 資源循環経済小委員会 太陽光発電設備リサイクルワーキンググループ」合同会議の第6回が、2024年11月21日に開催されました。

第6回の小委員会では、これまでの関係者ヒアリングなどを反映した上で、太陽光パネルのリサイクル義務化の方向性が提示されています。

(前回までの検討会に関してはこちらから ⇒ 第1回第2回第3回第4回/第5回

≪注意事項≫
今回の会議では動画配信を視聴できなかったため、開催資料から概要を整理しています。

今後議事録の公開や関係者から内容を確認できた際に、必要に応じて内容を修正・更新する可能性があります。

関係者ヒアリングからのコメント

第4回および第5回で実施された関係団体・企業による主な意見が整理されています。

ヒアリングによる主な意見(引用元:環境省

ヒアリング主体の立場により各種の意見や要望が提示されていますが、費用負担・責任主体のあり方や再資源化に際しての費用水準、負担の公平性や制度の安定性など、新たに仕組みを設けることへの事業性への懸念が多く上がっています。

【モノ】に関する論点

これまでの議論において、原則全ての太陽光パネルの再資源化義務化の対象として意見集約ができており、責任主体や再資源化の水準・方向性の論点が深掘りされています。

使用済太陽光パネルの再資源化の義務化

再資源化に係る義務化の対象、目指すべき再資源化の姿

  • 再資源化の対象は設備の大部分を占め今後排出増加が見込まれる太陽光パネルに限定
  • ガラスの再生利用に向けた用途拡大とリサイクル高度化、EVA等の熱回収は当面排除しない
  • 目指すべき再資源化の水準・方向性が必要、リサイクル困難な素材も含めて高度な資源循環を目指す

再資源化の実施主体

  • 一定水準の再資源化実施能力を有し認定を受けた再資源化事業者に、太陽光パネルの再資源化の実施を求める
    ⇒ 製造業者等に使用済太陽光パネルの引取り・再資源化の実施を義務付けることは難しい
    ⇒ 再資源化事業者に確実に引き渡されるようにするため、各主体に引取り・引渡し義務を課す
  • 広域的な太陽光パネル引取りおよび一定水準以上の再資源化等ができる事業者を、国が認定する制度を創設
(引用元:環境省
(引用元:環境省
使用済太陽光発電設備の放置対策

使用済太陽光発電設備の放置への懸念を払拭のため、既存制度の着実な運用に加えて新たな措置も組合わせた総合的な対応が重要だとされており、放置防止に向けた仕組みの構築が提示されています。

  • 資金不足による放置防止のため、非FIT/非FIP設備も含め解体等費用と再資源化費用を確実・早期に確保
  • 非FIT/非FIP設備を含めた太陽光発電設備や廃棄・リサイクルに関する情報の共有
  • 万が一、放置が行われた場合での第三者による解体・撤去時に、解体等費用及び再資源化費用の活用

【費用】に関する論点

太陽光パネルの再資源化に係る費用の負担の在り方について、これまでの議論に基づき方向性が提示されています。

解体等費用の負担のあり方、支払い方法等について

解体等費用の負担は設備の所有者とし、第三者機関へ預託する仕組みが提示されています。

  • 設備の所有者は、その設備の解体等を含む管理について責任を負う
  • 解体等費用は、設備の所有者の選択する設備の構造等により左右される
  • FITでの廃棄等費用積立制度でも所有者負担が前提とされており、制度的に整合

使用終了後に放置・不法投棄される可能性が低いと住宅用太陽光発電設備などは預託義務の対象外とすることや、確実な費用確保が見込まれる設備所有者については例外的に内部積立を許容することもなども提示されています。
また解体等費用の価格水準に関しては、現在既にFIT/FIP制度で想定されている費用水準を参考にするとされています。

再資源化費用のあり方について

製造業者に再資源化費用の負担を求めることとし、費用確保を担保のため第三者機関へ支払うと提案されています。

  • 他の個別リサイクル法においても当該製品の再資源化について責任を果たすこととされている
  • ライフサイクルが長期であり、再資源化を実施する時点で製造業者が存在しないことが想定
  • 海外事業者の割合が極めて高く、海外製造業者が自ら製品を回収することは困難

海外製太陽光パネルについては費用支払いの実効性の確保が難しいと考えられるため、太陽光パネルの輸入事業者
に対して再資源化費用の負担を求める
ことが提示されています。

再資源化費用の算定方法、リサイクル費用の低減について

再資源化の算出については、製造・輸入販売した太陽光パネルの数量単位に一定の単価で算出することが提案されています。
再資源化費用の単価の考え方の整理や、リサイクル費用の低減を進める必要性も指摘されています。

  • 環境配慮設計による再資源化に係る性能を考慮する仕組みが必要
  • 再資源化費用の単価は、制度施行後に排出される使用済太陽光パネルが将来に渡って再資源化の原資となる水準に設定するべき
  • 既に設置された太陽光パネルについても、再資源化費用も担保される仕組みが必要
  • 費用効率的なリサイクル技術の実装や再生材の利用拡大など、社会全体のリサイクルコストを下げることが必要
解体等費用・再資源化費用の管理、費用の流れの全体像

解体等費用および再資源化費用は、それぞれ設備所有者、製造業者/輸入業者が第三者機関に支払うことが提案されています。

(引用元:環境省

【情報】に関する論点、その他の論点

使用済太陽光パネルの適切な廃棄・リサイクルへ向け、モノ・費用の流れを円滑にするために必要な情報の整理や、既存インフラとの連携、発電事業に関わる事業者からの情報提供等を含めて検討することが必要性だとされています。

また、風力発電設備の廃棄等費用に関しても太陽光発電設備と類似の課題が指摘されており、費用確保のあり方について今後議論することが提案されています。

まとめ

第6回の合同会議では、これまでのヒアリングや議論を踏まえ、リサイクル義務化の対象や解体等費用および再資源化費用の責任、そして実際の『モノ』と『費用』の流れのイメージが提案されています。

これまでの議論においても、太陽光パネルのリサイクル義務化に伴う発電事業の事業性への影響や、過去の設置された設備への費用確保など、制度化に向けて解決すべき課題が指摘されています。

2025年の通常国会への関連法案提出を目指し、年内には制度の大枠を取りまとめる予定とされており、急ピッチでに進む議論の展開に引き続き注目が必要です。

参考資料