経済産業省が開催する「次世代型太陽電池の導入拡大及び産業競争力強化に向けた官民協議会」は、2024年11月28日に「次世代型太陽電池戦略」を公表しました。
現在主流のシリコン系太陽電池に代わるペロブスカイト太陽電池について、今後の需要拡大と産業基盤の構築に向けた政策がまとめられています。
ペロブスカイト太陽電池においても導入が進んだ場合には廃棄・リサイクルされる仕組みが必要となるため、本戦略の概要紹介とリサイクルにおける特徴を概観します。
2050年のカーボンニュートラル目標や再エネ主力電源化に向け、国内では太陽光発電は導入が進むものの、今後のさらなる導入には適地の制約や地域との共生などの課題が顕在化しています。
過去太陽電池技術で世界をリードしていた日本でしたが、中国など海外勢にシェアを押えられており、急激に市場や事業環境が変化をする中で、官・民ともに需要創出や投資で十分な規模やスピードで対応ができませんでした。
次世代型太陽電池であるペロブスカイト太陽電池は「軽量・柔軟」などの特徴を持ち、従来太陽光パネルが設置困難であった場所にも設置できる可能性があり、再エネ導入拡大と地域共生の両立が期待されています。
これらの背景の下、ペロブスカイト太陽電池について時間軸の目標を定めながら、「量産技術の確立・生産体制整備・需要創出」を三位一体で進め、まちづくり・地域や社会との共生を図りながら社会実装を目指すとされています。
太陽光発電設備の廃棄・リサイクルに関して現在議論が進められていますが、将来ペロブスカイト型太陽電池の社会実装・普及した場合には同様にリサイクルの仕組みが必要だとされています。
ペロブスカイト太陽電池の構造的特徴やサプライチェーンの違いなど、シリコン系太陽電池を対象としたリサイクル技術・システムとは異なる特徴が説明されています。
ペロブスカイト太陽電池は、軽量・減容化に優れており、国内でのサプライチェーンを考慮した、低コストな廃棄・リサイクルのシステムを確立することが必要だとされています。
≪運営者による注記≫
以下の内容は、経済産業省「次世代型太陽電池戦略」の内容とは、直接関係ありません。
ペロブスカイト太陽電池は発電セルを塗布(Roll-to-Roll)でき軽量化できることや、原料となるヨウ素が国内で算出できるなどのメリットが最近メディアでも取り上げられています。
下記のWEBサイトから、ペロブスカイト太陽電池の構造や特徴、製造方法や設置方法、最新動向などがご覧いただけます。
ペロブスカイト太陽電池は現在は実証から実用化に向けた段階であり、国内ではリサイクル技術やLCAに関する取組みは少なく、特許出願や論文等の文献も確認できなません。
現時点では市場に製品として普及しておらず、太陽電池の構造や将来の市場が見えていないことが要因の一つとも考えられます。
海外では、様々な研究機関でペロブスカイト太陽電池のリサイクルの取組みが進められており、リサイクル技術やLCA評価等の文献も最近多く発表されています。
次世代型太陽電池戦略では、世界市場を視野に生産体制を構築する目標が掲げられており、リサイクル技術においても今後積極的な海外への発信が求められます。
脱炭素社会の実現に向けて再生可能エネルギーの重要性が一層高まっており、資源セキュリティや産業育成といった観点からも、国産エネルギーとしてのペロブスカイト太陽電池への関心が強まっています。
経済産業省と関係企業・団体が発表した「次世代型太陽電池戦略」は、ペロブスカイト太陽電池の供給と需要の両面で普及と強化を進めることが目的とされてます。
また廃棄やリサイクルに関しても、導入段階から適切な環境整備に向けた議論が進むことが求められ、今後の進展に注目する必要があります。