神戸市では、「神戸市太陽光発電施設の適正な設置及び維持管理に関する条例」を施行しており、市内に設置されている10kw以上の太陽光発電施設を対象に規制対象区域等を定め、太陽光発電施設の適正な維持管理及び撤去費用の確保(保証金預入)等を義務付けています。
現行条例では保証金算定にリサイクル費用等が含まれておらず、事業面積や系統用蓄電所などの課題に対応するために、「規制対象区域の拡大・施設の追加」や「保証金の額、対象事業の見直し」などの改正が2025年7月に予定されています(パブリックコメントは終了)。
条例案の概要
1.規制対象区域の拡大・施設の追加
(1)市街化調整区域全域を「許可を要する区域」とする(面積要件 1,000 ㎡の撤廃)
(2)蓄電所(系統用蓄電池から放電する事業であって、蓄電池のみで独立して設置されるもの。一定規模以上のものに限る。)を新たに条例の対象施設に位置づけ2.保証金の額、対象事業の見直し
(1)保証金預入の対象事業としている要件(事業区域面積 5ha 以上)の撤廃
(2)現行の保証金の額の上乗せ
現在の規定(資本費の 5%)を 6%(急傾斜地は 7%)に引き上げ3.許可申請時の手続き、記載事項の追加
(1)関係法令(森林法、盛土規制法等)に基づく手続き状況を記す書類の提出の義務付け
(2)許可申請・届出提出前の事前協議制の導入
(3)許可申請・届出提出時の記載事項に、使用されている有害物質の有無等を追加4.許可要件等の強化
引用元:神戸市
(1)損害賠償保険への加入を義務付けている要件(事業区域面積 5ha 以上)の撤廃
(2)決壊による水害等により被害を及ぼす可能性があると判定されている農業用ため池への設置を禁止
(3)事業者に実施を義務付けている近隣関係者への説明方法、説明範囲等を具体的に規定。許可申請時に開催結果の提出を義務付け。
現在、環境省において太陽光パネルのリサイクル義務化に向けた法制化に動いており、廃棄・リサイクル時の費用についても事業者に徴収する方向で議論が進んでいます(関連トピック)。
検討会では費用徴収に関しての事業リスクや収益性への配慮の必要性が事業者や委員からも指摘されており、国と自治体の役割なども議論されています。
一部の発電事業者による不適切な事業運営など太陽光発電の地域との共生が課題となる中で、地方独自の規制強化の動きが増えています。
一方で自治体も再生可能エネルギーを推進すべき立場であり、事業者への過度の負担を回避しつつバランスの取れた推進・規制の方策が求められます。