東京都では、今後大量廃棄が見込まれる使用済太陽光発電設備の3R及び適正処理を推進するため「東京都太陽光発電設備高度循環利用推進協議会」が設置しています。
2025年2月18日に第8回の協議会が開催されており、資料が公開されています(議事録は2025年3月4日時点で未公開)。
当日の動画配信および公開されている資料を元に、協議会の概要を紹介します。
(前回までの協議会に関してはこちらから ⇒ 第1回、第2回、第3回、第4回、第5回、第6回、第7回)
第8回の協議会では、以下の内容が議論・共有されています。
太陽光パネルリサイクル補助事業
引用元:東京都
マニュアル改定の報告
調査報告
首都圏リサイクル施設の紹介
・株式会社リーテム
情報提供
・蓄電池リサイクルの取組(日本電機工業会)
・川崎市の取組について(川崎市)
・東京都令和7年度予算
・国の動き(太陽光発電設備のリサイクル義務化)
太陽光パネルのリサイクルに関しては、現在実施中の住宅向けのリサイクル促進事業の実施状況やマニュアル改訂内容の報告、令和7年度の事業内容などが説明されています。
また今回の検討会では、住宅用太陽光発電設備のパワーコンディショナーに関する排出実態が報告されています。
東京都では、使用済住宅用太陽光パネルのリサイクル促進に向けて、住宅用太陽光パネルのリサイクルを行う事業者に対し費用の一部補助を実施しており、リサイクル施設の追加公募に報告がされています(関連トピック)。
2024年12月に、都が求める要件を満たすリサイクルとして2施設が追加され、東京近郊で計8社となっています。
令和7年度も追加で公募が予定されているとされています。
一方で、令和5年度のリサイクル補助事業への申請は6件(計18.56kW)に留まっており、制度利用に向けた周知が課題と考えられます。
太陽光発電設備を構成するパワーコンディショナー(PCS)の排出実態に関して施工業者や製造・販売業者、処理業者を対象にアンケート調査が行われ、調査結果が報告されています。
回収実績や処理実績は極僅かとなっているものの、パワーコンディショナーの処理難易度は低くリサイクルのしやすさから、将来課題になることは無いとされています。
東京都では、脱炭素都市としての世界モデル実現に向けて、再エネ拡大やエネルギー消費削減に向けた各種施策が進められています。
太陽光パネルのリサイクルに関しても「高度再資源化設備導入促進事業」の中で、高度再資源化に取組む事業者に対して設備導入費の支援が予定されています(関連トピック)。
これまでの排出側への補助に加えて処理側への支援が進むことで、都内のリサイクル環境構築に弾みがつくことが期待されます。
東京都では、2050年ゼロエミッション東京の実現に向けて太陽光発電の導入支援を含めた各種施策が進められており、バックエンドの環境構築への取組みも進んでいます。
今回の検討会では、来年度に向けたリサイクル施設への補助事業が開始されるなどが説明されており、処理事業者への支援を通じて太陽光パネルのリサイクルシステムの整備が加速することが期待される内容でした。
一方で、太陽光発電の導入量に比べて処理施設の導入が進まない地域もあり、自治体の財政力や事業者の数・資本など地域間格差への対応に向けた議論が望まれます。