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東京都:太陽光発電設備高度循環利用推進協議会、第7回開催

東京都では、今後大量廃棄が見込まれる使用済太陽光発電設備の3R及び適正処理を推進するため「東京都太陽光発電設備高度循環利用推進協議会」が設置しています。
2024年9月30日に第7回の協議会が開催されており、資料が公開されています(議事録は2024年9月10日時点で未公開)。

公開されている資料を元に、協議会の内容を紹介します。

(前回までの協議会に関してはこちらから ⇒ 第1回第2回第3回第4回第5回第6回

第7回協議会の内容

公開されている資料によれば、以下の内容が議論・共有されています。

  1. 太陽光パネル処理の調査報告
    ・首都圏リサイクル施設の受入れ実態
    ・都内中間処理業者の受入れ実態
  2. 次世代型ソーラーセルの調査報告
  3. マニュアルへの災害時の対応追加
  4. リサイクル施設の追加公募の報告
  5. リサイクル補助事業
  6. 補助事業、マニュアル等の周知活動
  7. 情報提供
    ・ガラスリサイクルの取組(AGC株式会社)
    ・川崎市の取組について(川崎市)
    ・国の動き(リサイクル義務制度、高度化法など )
引用元:東京都

太陽光パネル処理の調査報告

首都圏における太陽光パネルの廃棄・リサイクルの実態調査の結果が第4回協議会(2023年8月)で報告されており関連トピック、今回の協議会では調査対象を10社に増やした2023年度調査結果が報告されています。

(引用元:東京都

前年度の調査結果と同様に年間数トン/社と受入れに留まっており、事業用・住宅用問わず中間処理施設に持ち込まれる量は極めて少なくなっています。

また都内の中間処理業者108社を対象にした、廃棄パネルの受入れ実態に関するアンケートが実施されており、処理実績や取扱いの意向、今後の事業化の予定などが報告されています。
アンケート結果によれば、新たに太陽光パネルのリサイクル装置の導入を検討している企業が8社あると報告されています。

(引用元:東京都

将来の大量廃棄を見越した事業への先行投資と想定されますが、現在の廃棄量の少なさ(施設稼働率の低さ)や都心近郊での太陽光発電の導入実態など、実際の市場動向や将来性など事業性が課題となると考えられます。

マニュアルへの災害時の対応追加

東京都では、太陽光発電を長く安全に使用し、使用済住宅用太陽光パネルを適切に撤去方法をまとめたマニュアルを、住民や事業者向けに公開しています関連トピック

第7回検討会では、災害時の対応を追加するための検討がされており、地震や水害発生時の対応案が提示されています。

(引用元:東京都

なお東京都の「災害廃棄物処理計画」では、太陽光パネルは処理困難物として例示されているものの、発生量や民間処理施設での対応方法などの詳細については特に記載はされていない様です関連トピック

情報提供 ~ ガラスリサイクルの取組み(AGC株式会社)

太陽光パネルのリサイクルに関する国の検討会やWGにおいても分離選別後のガラスの課題や利用方法が取り上げられており、ガラスメーカー等のヒアリングも実施されています関連トピック

第7回検討会でも、国内大手ガラスメーカーのAGCによるガラスのリサイクルの取組み事例が紹介されており、太陽光パネルのガラスリサイクルに関する課題が

  • リサイクルが促進される仕組みの構築
  • 太陽光パネルガラスから建築用板ガラス等の高度リサイクルのための設備導入促進
  • フロート方式でのアンチモン発色防止技術の確立

まとめ

東京都では2050年ゼロエミッションの実現に向けたロードマップとして「2030年カーボンハーフ」を掲げ、太陽光発電設備の導入を推進に合わせて使用済太陽光パネルの適切な廃棄・リサイクルの取組みも進めています。

今回の検討会でもリサイクルの実態調査が実施されていますが、現時点の廃棄需要と将来の想定量のギャップや、ガラスのリサイクル利用に関する課題など、国や各自治体で議論されている問題の難しさが浮き彫りになっています。

環境省では太陽光パネルのリサイクル義務化や高度リサイクルの普及等の法制化も検討されており、国・自治体、そして民間が協力して適正なリサイクル環境の構築に取り組むことが求められています。

参考資料