経済産業省は、2022年7月28日に 「第7回 再生可能エネルギー発電設備の適正な導入及び管理のあり方に関する検討会」を開催しました。
本検討会は関係4省庁(経済産業省・農林水産省・国土交通省・環境省)の共同で開催され、関係者のヒアリングや有識者の議論を通して、今回第7回で『提言案』として纏められています。
本検討案は、今後パブリックコメントを経て実際の運用に反映されるとあります。
政府では、2050年のカーボンニュートラル及び2030年度に再生可能エネルギーの割合を36~38%にするという、野心的な目標を掲げています。一方で再エネの拡大に伴い、一部の地域では災害や環境への影響、再エネ設備の廃棄などへの懸念も指摘されています。
この様な背景において、関係4省庁(経済産業省・農林水産省・国土交通省・環境省)が共同で、再生可能エネルギー発電設備の適正な導入及び管理に向けた施策の方向性などの議論のため、検討会を開催される運びとなりました。
検討会では既に顕在化している問題と将来の運用で課題として想定される事項について議論がなされ、再エネ特措法(FIT法)の主旨に基づき適切な開発・運用を求めるとあります。悪質な事業者に対しては、FIT交付金の留保など厳しい措置や、地域の合意形成や関連する法令準拠、法令違反の場合に早期解消などが、提言案として纏められています。
本検討会では、再エネ設備の導入から廃棄までの事業実施のそれぞれの段階に応じた課題整理・制度的対応や運用のあり方などが議論をされており、太陽光発電設備の『廃止・廃棄段階』についても多くの提言がなされています。
現在「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン」や「太陽電池モジュールの適切なリユース促進ガイドライン」 、「廃棄等費用の積立制度」などが運用されていますが、課題も挙げられています(関連トピック①、関連トピック②)。
(1)適正な廃棄処理に向けた関係者への情報発信・周知
⇒ 廃棄時の相談先や業者の引取り拒否、ルール周知の不備、太陽光パネルに含有する有害物質の情報開示の不足(特に外国製メーカーなど)
(2 )リサイクル・適正処理に関する対応の強化
⇒ リユース・リサイクルによる資源循環の考え方の徹底、事業の廃止と廃棄物該当性の判断との間にギャップ(事業廃止後に放置の懸念)、再生資源としての需要開拓の必要性
(3)調達期間後の適切な管理や設備更新
⇒ 再エネ特措法に基づき国民負担で導入された発電設備の事業継続、FIT期間終了後の設備更新や長期稼働
これらの課題を踏まえ、廃止・廃棄段階に関して、以下のアクションを取るべきと提言されています。
(1)速やかに対応するもの
(2)法改正も 含め制度的な対応を検討し措置するもの
本検討会では、再生可能エネルギーの普及で生じた地域が抱える懸念を払拭し共生を目的に、再エネ発電設備の適正な導入及び管理のあり方が議論されてきました。
一部の悪質な事業者の是正は勿論ですが、全ての発電事業者が地域社会において持続可能な事業を実施するために、今後の法制化を含めた取組みを十分に理解し対応していくことが求められます。